染色について
染色について
組紐を組む前に生糸を染色します。現在、生糸の染色には化学染料を使用している場合がほとんどです。また分業作業の多い和装業界は染色の工程を別の糸染め職人にお願いをしているところが多いですが藤三郎紐では糸の染色から組みまで一貫して行っております。
藤三郎紐では化学染料(私どもは特殊堅牢染と呼ぶこともございます。)だけでなく、お取引先様のご注文により草木染めで生糸を染色する場合があります。組紐に草木染めを使用しているのも藤三郎紐の特徴の一つです。
草木で染めた、あの独特の淡く渋い色はなぜ出るのでしょうか。
純粋な色の集まりである化学染料に比べ草木の染料から摘出された液には多くの不純物が含まれています。その不純物こそが草木染め独特のあの色を出すのだと言われています。
草や樹皮を裂いて、それを編んで衣料とするようになった古い時代から草木による染色が 始まったと思います。自分達の身近にある花や草の色を自分の衣服に染めようとあらゆる工夫をこらし人それぞれ、また地方によって様々な染色方法が考えられ現在に至っています。
草木染めを個人で楽しむ場合には、あまり方法や物にこだわらず自分の周りにある草花を自分のやり方( 例えば染料の量など適当に。) で染めれば良いのではないでしょうか。自分の周りにあるいろいろな草木をどんどん染めていって下さい。そして 自分の色を見つけて下さい。
帯締めと草木染め
そもそも化学染料が日本に入る明治の30年頃以前は、すべて草木などの天然の染料で染められていました。
当然組紐も草木で染められていたのですが組紐が帯締めとして使用されるようになったのは 明治に入ってからである事を考えますと帯締めとしては化学染料で染められてきた物がほとんどであると思われます。
帯締めは帯の上から強く結ばなくてはならないので色落ちがすると帯に色がつきます。
その為、絶対に色落ちがしてはいけません。
しかしながら草木染めは基本的に摩擦に弱く色落ちがしやすくなっています。
そこで藤三郎紐では染色方法、染料を研究し色落ちのないように糸を染めることに成功しました。
草木染めで染めた商品には、このレッテルがついています。
藤三郎紐には上記の商標や、
レッテルがついています。
一般的な染色の方法
一、染液の抽出
草木の中には藍や紅花など特殊な方法で染液の抽出をする物があります。しかし大体は水から染料を煮込み、その抽出液で染めるのが多いと思います。
写真は栗のイガから染液を摘出するところです。
二、染める
一で作った染液をろ過して、その液に湿らせた糸や布をつけて染色をします。
写真はラックダイで染めているところです。
三、水洗い
きれいな水でしっかりと洗います。
四、媒染
媒染( ばいせん )とは糸と染料を結びつける役目をする主に金属系の物質です。
昔は灰( アルミなどが含まれている )や土 ( 鉄などが含まれている )を利用しました。媒染材を使わないと糸に染料が定着せずに、すぐに色あせたり、色落ちしたりします。黒豆を炊くときに古釘( 鉄分 )を入れて炊くときれいな黒色になるのと同じ事です。
種類の違う媒染材に浸ける事により同じ染料を使用しても色が変化する事があります。また藍のように媒染材を必要としない物もあります。
一般の家庭ではミョウバンが手に入りやすいのではないでしょうか。
五、もう一度水洗い
六、乾燥
布を染めた場合は余り長く天日に干さない方がよいと思います。
七、二~六を繰り返し
好みの色合いまでもっていきます。